Deserted place うげん 忍者ブログ
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うげん
しばらく文中心に更新すると思います…!!orzすみません!
スキャナが残念になってから絵を描くのが最近めんどくさいです
手ブロではもそもそ描いてると思いますが;
友人に「更新停滞ありえん」と言われてしまったので
なけなしのプライド総動員してちょこちょこでも…!!うおおあああ

あ、あと!サイト改装前後に拍手ありがとうございました!
今日も拍手ありがとうございます><何もなくて申し訳ありません;

起爆剤に(?)追記に小話を1つ!w遊戯のお話です。またくだらないです。

蝉の声。日はすでに高く、目覚まし時計がアラーム時刻を指したまま11時を示していた。
8月下旬においても、まだ夏を終わらせまいとアブラ蝉達が競って自慢のコーラスを披露してくれるおかげで、目覚めは最悪である。

「あー…」

『起きたか、相棒』

ぼんやりと彷徨っていた視線が一箇所に固定される。常人には見えない、自分だけの存在に。
彼はもはや定位置と化している遊戯の勉強椅子に座していた。通常の座り方とは逆で、背もたれを抱くようにして座っている。
ここであれ?と遊戯は疑問を抱いた。いつもならば足でも組んで、こちらを早起きの余裕のなせる笑みで見ていることが多いのだ。
観察していくと更に疑問符が浮かぶ。目が据わっている。ここで気付く。彼はとても暇だったのだと。

彼は実は睡眠が必要ではない。肉体が存在しないからである。
遊戯自体の極度の疲労や、彼に精神的な損傷が有る場合は心の部屋で休息を取るが、現在遊戯は夏休み。
そんなことはあんまりない。あんまりどころかほとんどない。
宿題に追われるべき夏休み後半だが、できない部分はすでに諦めているので、杏子を頼りにしている。
まあつまり、惰眠のむさぼり放題なわけで。必然眠らない闇遊戯は暇である。
それが2、3日ならばまだしも、1週間と続けば彼の忍耐力も底をつく。

そこまで思考がいたって、この状態はただならぬものではないかと思考が発展した。
もう1度もう一人の自分を盗み見る。攻撃力の高い日差しが半透明の体を貫いているが、気にする風でもなく、先程と変わらぬ据わった半眼でこちらを眺めている。

(な、なんとか空気を変えなくちゃ・・・!)

「え・・・えと・・・今まで何してたの?」

言ってから、しまったと思ったがすでに遅い。彼にすることがあったなら、こんなところに座ってはいないのだ。
半眼のまま、闇遊戯はあくびをかみ殺しつつ、遊戯の予想通りの言葉を述べた。

『特に、何も』

降りる沈黙。喉の奥から、次の言葉が出てこない。指をいじりながら話題を探す。が、ここにきて半分引きこもり生活が祟ったのか、話題がまったくでてこない。
テレビも最近見ていないし、ご近所の話も聞いてない。デッキは昨日組んでしまったし、今後の予定はまだ立てていない。

『・・・平和だった』

「え?」

てんぱっていたところに唐突に言葉が発せられたため、思わず問い返してしまった。

今すごくこの部屋にも状況にもそぐわない言葉が飛び出したような・・・?

指から視線をはずして、もう1人の自分を見上げる。
半眼が、へにゃりと笑った。

『すごく・・・平和だったんだ』

「へ・・・へえ?よかった・・・ね?」

『ああ』

またへにゃり。

なんだろう。今日のもう一人の僕はどこかおかしい。いやすごく。

結論付けて、体育で褒められそうな速度でベッドから起き上がる。半身があっけにとられている内に眼前に回りこみ、(もちろん触れないのだが)半透明な肩の辺りを鷲掴んだ。

「どうかした!?」

『え?え!?』

「熱でもあるんじゃないの?!いや最近夜更かしばっかして君にも負担がかかったのかもしれない!?
は!まさか千年パズルを日光に当てすぎたから!!」

『お、おちついてくれ相棒!!』

遊戯の腕を(触っていないのだが)肩から引き剥がしながら、険しい表情を作った。

『俺は大丈夫だ!』

「う・・・うん。ごめん」

一喝され、冷や水をかけられたようだ。決闘で見せるかのような真剣なまなざし。
勘違いだったのかな、と手を離し、納得しかけたところで。


へんにゃりな笑顔に戻る。


『ほら、どこも変じ』

「うああああああああああああああ!!!」

思わず闇遊戯の肩を(掴めないはずなのだが)連続で揺する。

「変じゃんかああああうああああああ!!!!」

『おおお落ち着くんだあいぼおおうううううう』

気の済むまで揺すった後、ようやく手を離した。お互い息が上がってしまって、再びしばらくの沈黙。
いつものことではあるが、遊戯から先に口を開いた。

「ごめん・・・驚いたけど、もう、だいじょぶ・・・どんな君も君、だもんね」

整いきらない呼吸で、言葉が単語で切れてしまったが、意味が伝わるには十分だろう。
証拠に、闇遊戯はひとつ頭を振った。

『いや・・・こんな、反応をされる、とは思っていなかった・・・俺も、慎重にすべき、だった・・・』

呼吸が整い、向けられた半身の笑顔は、いつも遊戯の見慣れた微笑だった。

***

あれから、補習のために学校に向かう途中であの謎の笑顔の原因を知った。
遊戯の家、亀のゲーム屋の前を夏休み真っ盛りの小学生が駈けていく。
たくさんの小学生の笑顔が、あのときの闇遊戯の笑顔に似ていた。
本当に暇だったのだろう彼は、2階の遊戯の部屋の窓からあの笑顔を見ていたのだろう。
で、本人曰くあまりにも楽しそうに笑うので真似したらしい。
まあ、似合わないにも程があった旨を伝えると、普通に戻ってしまった。

彼が小さなころは、あんなふうに笑っていたのだろうか。

『俺の顔は相棒によく似てるんだぜ?』

含んだようにそんなことを言われたので、この話題は封印された。











無理やりはいつものことですorz
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